19歳の時、アメリカへ行きました。
初めての海外旅行の割には、ロスの日系の俳優さんの家に居候という度胸の良さ。言葉には多少の自信があったものの、やはりコミュニケーションに苦労します。 居間でくつろいでいる時、ふと目をやるとそこにバイシクルのプレイングカードがあるではありませんか。日本なら任天堂の花札が置いてあるような日常感でしょうか。(花札は日常ではないか・・・)
で、ちょっとホストファミリーに余興を披露しようと、カードマジックを演じたわけです。いやいや、受けたこと受けたこと。リアクションの違いが凄い。
典型は、サッカートリック(一瞬マジシャンが間違えたように見せて、実は強烈なエンディングを見せるという、見方によっては非常に挑戦的に見えるジャンル)の一種であるカッティング・ジ・エーセスを演じた時。1組のデック(カード)に混ぜ込んだ4枚のエースが、カットすると次々出てくるが最後のスペードのエースだけが失敗する。たとえばハートの5なんかが出てきてしまう。そこで、「あ、5ですから、5枚目を見てみましょう」と、そこから5枚目のカードをめくると見事スペードのエースが現れるという代物。アメリカ人の反応は、間違ったふりをしてハートの5を出した時、「あらまぁ、でも大丈夫、この世に完璧な人なんかいないのよ」なんて言ってくれる。その言葉に少々恐縮しながら、最後のエースを出すと、もう拍手喝さい!大喜び!グレート!グレート!グレート草津と(失礼、オヤジ入りました・・)
これが日本人相手だとどうなるか、というと・・・先ず間違えたふりをした時に先ず「ニヤリ」とされ、どんでん返しのエンディングで「全然わかんない」とパズルを挑戦されたような態度。確かに、サッカートリックってのは気をつけないといけない(下手すると客がカラカワレたと被害意識を持つ)微妙なジャンルではあるのだけど、ここまで国民性が違うと思わなかったです。
ああ、こんなにマジックを喜んでくれる人がいるんだと、とにかく嬉しくてカードマジックのレパートリーを時を忘れて披露しました。
こりゃ素晴らしい芸を持ったゲストが来たもんだと、その日系俳優、自分のコネクションから紹介をもらい、私をあの「マジックキャッスル」につれていってくれたんです。しかも、そこにいる日本人のマジシャンと会わせてくれると紹介してくれた方は、なんと・・・・あの島田晴夫氏、その方だったんです。ホント。
これは、草野球少年がたまたまアメリカに行ったら、友人にマリナーズの試合に連れて行ってもらい、「じゃ、コネがあるから練習中に選手に会わせてあげるよ」と言われてグランドに降りてみたら、イチローが待ってた、っていうくらい凄いことです。もう30年近く前になる自分の記憶をたどり、次回は島田晴夫氏との遭遇の感激を一席。