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芸人は「備えよ常に・・・・」

こんな質問を頂いたことがあります。

>マジックをやってらっしゃる方に、パーティーの席で「マジック見せてください」って言っても失礼にならないですか?見たいんですけど、断られるのが怖くて・・・・

と、この状況理解できます。 

つまりマジックって準備が必要な場合が多い、あるいは演じる状況に制約が生じることがある芸だから、言われたマジシャンが即興的なレパートリーを持っていないと、「お断り」になるのかもしれません。


自称マジシャンであれば「指を折って、親指が離れまーす」とか「コインが一枚消えまーす」なんて、瞬間芸みたいなものを演じるのはプライドが許さないのでしょう。

でも、これって明らかにマジシャン側の心構えが足りない話で、そんなプライド持っている「自称マジシャン」なら「演じる機会が無くとも、いざリクエストがあった時のために、小ネタを仕込むなり、カードを一組ポケットに忍ばせるなり、とにかく準備せよ」と言いたいですね。


流石に鳩を身体に忍ばせたままパーティーの場をうろつけとまでは言いませんが、芸人たる準備は常に必要だと思います。

Gregory Wilson というマジシャンが即興マジックの教則ビデオ(「On The Spot」 が有名)を出していますが、ストリートマジシャンとしての即興マジックは芸人道の基本とも言えます。

コイン、お札、ボールペン、等々身近な道具を使って奇跡を演じる・・・・これぞ芸人の醍醐味だと思います。


僕の場合、ネタを仕込んでパーティーに参加し、何のお声がけもなく、場を盛り上げるために「ちょっと面白いものご覧にいれましょうか?」と切り込む隙もないくらいパーティーは盛り上がってしまい、ポケットに忍ばせたネタが不発のまま終わる状況もあります。

で、いざ「ねぇ、マジック見せてよ」とリクエストがあった時に、例えば道具やらカードやらを引っ張り出して、「なーんだぁ、ちゃんと準備してるじゃ~ん」とか冷やかされても、それはそれでよし、です。


昔々、加藤英夫氏の寄稿にありましたが、同氏はレストランで席に着くと隙をみて灰皿(最近は見かけないかも・・)の下にコインを1枚ローディング(隠して)おくのだそうです。


で、食後のデザートの時なんざぁ、「何かマジックみせて」と言われたら、おもむろにコインを消して相手に灰皿をどかせると、消失したコインがそこに現れると、小さな奇跡を演じるそうです。

ある時マジックのリクエストがくる前に、相手が灰皿を手元に引き寄せて、一瞬ひやっとしたものの、何故かコインは灰皿の裏にくっついたまま一緒に相手の手元に移動し、その上で消失と出現を演じたので、それはそれは強烈な現象になったというクダリが書かれていました。

相手からマジックのリクエストが無かった場合、そのコインは「ウェイターにとって意外な場所から現れたチップ」としてテーブルに残して席を立つことになるわけですが、マジシャンの「準備」ってかくあるべし、と思います。

押し売りではなく・・・、でもリクエストがあれば即、小さな奇跡を演じる。 ひとつの理想形だと思います。

ボーイ・スカウトのスローガン「そなえよ常に」(Be prepared)は芸人にこそ必要な心構えかも・・・

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